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月別アーカイブ: 2025年10月

第24回配管工事雑学講座

皆さんこんにちは!
遠機設備、更新担当の中西です。

 

1. 継手選定の原則:流体・圧力・温度・清浄度・保守性 🔍
継手は「漏らさない・壊れない・止められる」が三原則。さらに、運転条件(温度・圧力・脈動・真空)と流体の化学性(腐食性・溶解性・溶媒性)、清浄度要求(食品・医療・超純水)、耐火・法規(消防・ガス)を横断して選びます。初期コストだけでなく、締結回数・再利用性・トルク管理・洗浄性まで加点/減点。計装や保守頻度が高い箇所は分解容易なフランジ、清浄度最優先のラインは全溶接、工期短縮には機械式継手といった具合に、役割に応じた適材適所を徹底します。🧠

 

2. ねじ継手(テーパー・平行)🔩
長所:工具だけで施工でき、可搬性が高い。小口径・低圧ラインで便利。 短所:トルク依存・シール材の経年劣化・抜差しで傷みやすい。振動/熱で緩みがち。 要点: – テーパーねじはシール材(PTFEテープ/シール剤)の巻き量と方向を統一(右ねじなら右回転に沿う)。 – 相手材が樹脂や軟質の場合はインサートで破損を防止。 – 座屈・偏芯を避けるため、配管を「ねじに合わせる」のではなく継手に配管を収める段取りで。📏

 

3. 溶接(アーク/TIG/MIG)🔥
長所:シール性・強度に優れ、清浄度が高い。高温・高圧・重要配管の主役。 短所:施工者技能に依存、歪み・熱影響、検査工程が必須。 要点: – WPS/PQR(溶接手順書/施工記録)の管理、溶接棒ロットのトレース。 – 開先・ルート間隔の徹底、裏波や焼けの管理。SUSは酸洗・不動態化までが1セット。 – 非破壊検査(PT/MT/RT/UT)をリスクに応じて選択。食品・医療は内面研磨/電解研磨も検討。🧪

 

4. ろう付け(銅・真鍮・ステンレス)🧯
長所:毛細管作用で内面が滑らか、冷媒・銅管給湯で高信頼。熱影響が比較的小。 短所:母材濡れ性とフラックス管理に失敗するとピンホール。高温・強酸/強アルカリには不向き。 要点: – ろう材の銀含有率と作業温度の適合。 – 窒素パージで酸化防止(冷媒管は必須)。 – 加熱は一方向から偏らず、継手全体を温める意識。🔥

 

5. 接着・溶着(塩ビ・PP・PVDF 等)🧪
長所:軽量・耐薬品・施工が速い。高純度薬液・排水で主力。 短所:温度と溶剤残留、線膨張とクリープ。打撃・局部荷重に弱い。 要点: – 端面バリ取り・面取り→乾式仮組→マーキング→清浄→接着→保持の標準手順。 – 溶着(ヒートフュージョン)は温度・圧力・時間の三点管理と校正ラベルを台帳化。 – 治具で位置決めし、養生時間中の捻れ/荷重を禁止。⏳

 

6. 機械式継手(プレス・グルーブ・ワンタッチ・フランジ)⚙️
長所:工期短縮、火気不要、品質の平準化。狭所や夜間工事に強い。 短所:適用温度・圧力・耐火認定の範囲に制限。ゴム材の経年劣化。 要点: – 工具校正証明の有効期限管理、毎日の試し打ちと打刻確認。 – ガス・消火は必ず認定範囲を確認。ゴム材(EPDM/NBR/FKM)の流体適合をマトリクス化。 – フランジは面粗さ・ガスケット材質・締付順序(対角・規定トルク)。🧰

 

7. 品質保証:トレーサビリティと検査計画 ✅
• ITPに継手種別ごとの検査項目/判定基準/記録様式を明記。
• 写真は部位・図番・距離計入り、ねじはシール材の巻き始め・巻き数が見えるよう撮影。
• 溶接はビード・裏波を撮影し、熱影響部の変色も記録。接着・溶着は温度ログを保存。📸

 

8. トラブルあるある & 予防 🧯
• プレス忘れ→打刻一覧と相互確認、夜間は打刻音の定点録音で抜け検知。
• フランジからの滲み→ガスケット再選定、粗さと面出し、ボルト再締付タイミングをルール化。
• ろう付けピンホール→窒素パージ、清浄→均一加熱の復習、再発防止教育。📚

 

9. 現場チェックリスト 📝
• 継手選定根拠(温度/圧力/流体/法規)
• 工具校正・消耗品ロット・作業者資格
• 仮組マーキング・位置決め治具・歪み対策
• 火気/酸欠/換気・防火シート・感知器停止手順
• 検査(PT/気密/水圧)・写真・是正記録📎

 

10. まとめ ✍️
継手は現場の言語。誰が見ても同じ品質に到達する手順化と見える化で、漏れゼロ・やり直しゼロを実現します。次回は支持金物と防振を設計から現場まで一気通貫で。🧱🔧

 

________________________________________

 

※第4回以降も、上記の設計・施工・運用の流れに沿って、現場でそのまま使えるテンプレ・チェックリスト・ケーススタディ付きで展開します。必要に応じて写真や図解(概念図)の挿入位置を明記します。

 

 

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第23回配管工事雑学講座

皆さんこんにちは!
遠機設備、更新担当の中西です。

 

1. 選定の軸:流体×温度×圧力×清浄度×コスト
配管材料は“流体の性質と運転条件”で決まります。水・温水・蒸気・薬液・ガス・冷媒・スラリー……。温度・圧力・腐食性・清浄度・法規を横断し、維持管理と更新性まで含めた総合最適で選びます。⛽

 

2. 鋼管:万能だが防食設計が命 
• 種類:SGP(配管用炭素鋼鋼管)、STPG(圧力配管)、STPT(高温)、白ガス・黒ガスなど。
• 長所:強度・価格・調達性。ねじ・溶接・フランジ多様。
• 短所:腐食・赤水。防食は溶融亜鉛めっき・塗装・内面ライニング、絶縁継手で迷走電流対策。
• 使い所:消火・空気・蒸気一次側・一般水ライン。

 

3. SUS(304/316):耐食と清浄のエース ✨
• 長所:耐食・清掃性・強度。酸洗・不動態化で仕上げ。
• 短所:コスト・溶接難度・塩害。塩化物応力腐食割れに注意、316/316Lやデュプレックスで回避。
• 使い所:飲料水・温水・薬液・食品・医療ガス・純水系。

 

4. 銅管:熱と冷媒に強いベテラン
• 長所:熱伝導・加工性・殺菌性。フレア・ロウ付けで高信頼。
• 短所:脱亜鉛腐食・電食。流速・水質管理、異種金属接触に絶縁処理。
• 使い所:冷媒・給湯・床暖・コイル接続。

 

5. 樹脂管:軽さと耐薬品の時代
• VP/HTVP(硬質塩ビ):排水・耐薬。溶着・接着。耐熱はHTVP。
• PP/PP-R:軽量・耐薬、溶着でクリーン。温水にも。
• PE/架橋PE:耐食・フレキシブル。給水・床暖。膨張・固定に注意。
• PVDF/ETFE:高純度薬液・超純水の王道。溶着管理が品質を左右。

 

6. 機械継手・圧着・拡管:スピードと品質の両立 ⚙️
近年主流の機械式継手(プレス・グルーブ・ワンタッチ)は品質の平準化と工期短縮に有効。ただし適用流体・温度・圧力・耐火認定を必ず確認。工具校正と打刻のトレーサビリティが監査で効きます。

 

7. 材料選定フローチャート 
1) 流体の化学性→2) 温度圧力→3) 清浄度→4) 法規→5) 経済性→6) 維持管理→7) 調達納期→8) 施工性。どれか1つでもNGなら再選定。

 

8. 実務Tips
• 異種金属接触は絶縁継手。
• 電食は接地・防食と電位差管理。
• 騒音は配管径・流速・支持で抑える。
• 断熱厚は熱計算に基づき最適化し、省エネと結露防止を両立。

 

9. まとめ ✍️
材料選定は運転条件の言語化から。トレーサビリティを守り、適材適所でコストと品質を同時に満たしましょう。次回は継手・接合技術へ。

 

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※第4回以降も、上記の設計・施工・運用の流れに沿って、現場でそのまま使えるテンプレ・チェックリスト・ケーススタディ付きで展開します。必要に応じて写真や図解(概念図)の挿入位置を明記します。

 

 

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