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月別アーカイブ: 2025年6月

第16回配管工事雑学講座

皆さんこんにちは!

遠機設備、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~起きやすいトラブル~

ということで、配管工事において実際に起こりやすいトラブルと、その原因、現場での具体的な対策方法について深く解説します。

 

配管工事は、建築・設備・プラントなどあらゆる分野で欠かせないインフラの要です。しかし一方で、施工現場では「配管だからこそ起きるトラブル」が多発しており、工期遅延やコスト増加の原因となっています。


1. 寸法誤差・取り合いミス

■ 問題の内容

  • 配管ルートが図面通りに収まらない

  • 隣接する構造物や他設備と干渉してしまう

■ 主な原因

  • 設計段階での寸法誤差や3D検討不足

  • 現場寸法と図面との差異

  • 他業種(電気・ダクト等)との調整不足

■ 対策

  • 現地実測と図面照合の徹底

  • 3D図面の導入で干渉を事前チェック

  • 工程会議で他工種とのすり合わせを行う


2. 水漏れ・ガス漏れ事故

■ 問題の内容

  • 圧力テストで水漏れが判明

  • ガス配管からの微小な漏洩が発覚

■ 主な原因

  • 接続部(ねじ込み・溶接・フランジ等)の施工不良

  • シール材の不適切使用または劣化

  • 素材選定ミスや管の変形

■ 対策

  • 施工マニュアルに基づく厳密な接合

  • シール材・パッキンの選定と期限管理

  • 試験(水圧・気密)を段階的に実施


3. 勾配ミスと詰まりの発生

■ 問題の内容

  • 排水・通気配管で流れが悪くなる

  • 詰まりや異臭の原因に

■ 主な原因

  • 配管の勾配設計ミス(特に床下・天井裏)

  • 施工中のズレや支持金具の不適切設置

  • 異物混入や施工後の清掃不備

■ 対策

  • レベル器・レーザーによる勾配確認

  • 施工前後にカメラやファイバースコープで点検

  • 清掃・異物除去の徹底


4. 配管の振動・騒音・破損

■ 問題の内容

  • モーターやポンプ起動時に配管が揺れる

  • 固定不足による応力集中で割れやすくなる

■ 主な原因

  • サポート金具の強度不足・位置不良

  • 配管材質と圧力の不一致

  • 経年劣化や周囲温度変化の想定不足

■ 対策

  • 適切な支持間隔と固定構造の設計

  • 配管材料選定時の動的荷重検討

  • 防振部材や伸縮継手の導入


5. 現場管理ミスと情報共有の不足

■ 問題の内容

  • 作業指示が現場に正しく伝わっていない

  • 図面変更が施工者に周知されず施工ミス発生

■ 主な原因

  • 情報共有が紙ベースまたは口頭で不正確

  • 職人ごとの技術差による理解のばらつき

■ 対策

  • 施工前朝礼で図面確認と周知徹底

  • タブレット・共有クラウドで最新情報共有

  • 定例巡回・工程会議でのフィードバック強化


配管工事は一見シンプルに見えて、高度な判断力と調整力が求められる専門職です。小さなズレが命取りとなる世界だからこそ、設計・施工・管理の三位一体でトラブルを未然に防ぐことが求められます

 

 

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第15回配管工事雑学講座

皆さんこんにちは!

遠機設備、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~3D図面~

 

住宅設備、工場配管、空調冷暖房、プラント設計──あらゆるインフラを支える「配管工事」は、目に見えないところで複雑に張り巡らされています。その設計と施工の精度を高めるカギとなっているのが、3D図面(3D CAD)の活用です。

従来の2D図面では見落とされがちだった立体的な干渉・施工性・工程の理解を、3D図面が大きく補完しつつあります。


1. なぜ配管工事に3D図面が必要なのか?

配管工事では、壁・梁・電気配線など他設備との**空間的な“干渉”**を回避しながら設計する必要があります。しかし、紙の図面だけでは高さや角度の把握が難しく、施工時に初めて干渉が判明するトラブルも少なくありません。

3D図面なら、

  • 配管経路を立体で確認できる

  • 周囲の構造物との隙間を正確に測れる

  • メンテナンススペースを確保しやすい

といったメリットがあり、未然にトラブルを防ぎ、施工後のやり直しも減少します。


2. 施工の効率化と品質向上への貢献

■ 組立順序や施工手順の可視化

3Dモデルでは配管の順序、曲げ箇所、接続部分の角度などを視覚的に把握でき、現場での判断時間が大幅に短縮されます。

■ プレファブ化との相性が抜群

あらかじめ工場で加工・組立するプレファブ工法とも連携しやすく、正確な寸法・角度情報がそのまま加工指示に使えるため、品質のバラつきを防ぐことができます。


3. 現場コミュニケーションの改善

  • 現場管理者、職人、施主、他業種といった関係者間で、3D図面を共有することで「イメージのずれ」を防止

  • タブレットやAR(拡張現実)と連動すれば、現場で即座に確認・修正提案も可能に

  • 施工中の配管と3Dモデルを重ね合わせて確認するデジタルツイン的運用も進みつつあります


4. 若手技術者・技能継承の教材としても

3D図面は、配管初心者にとっての“教材”としても優れています。

  • 複雑な配管ルートや納まりの構造が直感的に理解できる

  • 熟練者の経験則を3Dモデルで記録・可視化でき、技術継承に活用可能

  • 学校教育や職業訓練でも導入が進みつつあり、次世代の技術者育成ツールとして注目されています


5. 未来を見据えた進化:BIMとの融合

建築業界で進むBIM(Building Information Modeling)との連携も、配管設計の大きな変革点です。

  • 建物全体の情報と3D図面を連携させることで、他工種との干渉調整がリアルタイムで可能

  • 建築・電気・衛生・空調の全体最適を図る総合設計支援ツールとして期待されています


配管工事における3D図面の導入は、「ただ便利」という段階を超えて、施工ミスの削減・作業効率の向上・技術継承の支援といった、多面的な効果を発揮しています。

配管は建物の“血管”であり、見えないところに最も重要な技術が隠れています。3D図面はその技術を“見える化”し、より強靱でスマートなインフラの構築に貢献しているのです。

 

 

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